猪野神社本地

此ノ地当祈ノ鎮守猪野神社ヲ奉祠スルコト久シ鬱蒼タル老杉古松ハ当ニ数百年ノ昔ヲ語レリ然ルニ明治四十貳年神社併合ノ令アルヤ神璽ヲ福澤神社ニ合祠シ唯銀杏一木ヲ記念トシ巨木ヲ伐採シ地域ヲ開拓シテ農耕ニ便ス然□□神威尊崇ノ念郷人ノ脳裡ヲ去ラズ依テ此処ニ一碑ヲ建テ神厳ヲ維持シ併セテ神社ノ本地タリシコトヲ伝フルモノ也 

大正十四年十月 班目氏子中
 延澤石工 星野力三郎

班目のイチョウ全景 猪野神社本地の銘
班目(まだらめ)のイチョウ
 松田山21世紀の森から展望したときに、開成町の班目地区の水田に独立樹が見て取れます。現地はどのような状態なのか調べに訪れてみました。
 水田地帯に一本だけ異質な感じで存在しているので、現地で探し当てることは難しくありませんでした。展望地からは大イチョウと認識していたのですが、実際はそれほどの樹高はなく、12〜3mといったところでしょうか。ただ、同じ敷地内に石碑があり、単なる樹木ではないことが解りました。
 石碑の表は崩した字で書かれていたのですが、裏面の内容と照合してなんとか意味を理解することができました。
 要約すると、その昔ここは猪野神社があり、明治期の一村一社制に従い、近くの福沢神社に合祀されました。その際、記念にイチョウ1本を残し、残りの鬱蒼たる森は全て伐採され、農地として整備されました。村民の神威に対する思いと、ここが猪野神社であったことを伝えるため、後に石碑も建てたとのことです。
石碑に刻まれた解説文
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